午後2時
住む人が
いなくなった家へと続く
山の坂道。
そこを
十歩程上がった所。
淡いピンクの花が
群れているその奥に
たっぷりと豊かな花をつけている。
このシャクナゲの事を
村の誰かに話すとしよう。
「ああ、あれはな・・・」
と、話は続くに違いない。
どこそこの家の角の柿は甘柿。
あの山の裾に沢山の実をつける
木いちごの木がある。
黄色い実だ。
関電の鉄塔に続く山道では
松茸が採れた。
タラの芽はあの杉林の裏。
葉ワサビは・・・
覚えきれない程のそういった話。
冬場に食料が不足した
当時の知恵の名残りなのか。
今聞くそんな話は
懐かしさと郷愁に
変わってしまった。