去年のいつだったか
黒すぐりの枝をチョキチョキと切った。
葉っぱも 花も 実も寂しいのが気になったから。
そのお陰か 今年は葉の色も美しく
ふさふさと波打つような姿になった。
小さな花から 黒い実が沢山付いた。
久しぶりに 両手のひらにいっぱいの実をとった。
木の鉢に入れ テーブルの上に置き完熟を待とう。
そして
白い琺瑯のミルクパンで 砂糖を沢山加えて炊こう。
丁寧にアクを取り 煮詰めて照りが出たら火を止め
熱いうちに 白い陶の蓋物に入れ
こんがりと焼き バターを塗ったパンの上に
たっぷりと 黒すぐりのジャムを
載せているシーンを思い浮かべる。
窓から朝の光がさし テーブルの上のカップから
ミルク紅茶の湯気が ふんわりと立ち上る。
そんな事も。