霧雨の一日 針葉樹

雪がすっかり溶けて数日が経った。

そして緑の草や芽が現れた。

瑞々しい苔も 枯葉も 雪の降る前のままの姿で。

 

クリスマスローズの倒れた小さな芽は

今日はしっかりと立ち 葉を広げ

ムスカリの長い葉は まだ寝ている。

ミントの小さな葉を摘み

春キャベツのサラダに散らしたら

爽快な香りが立った。

 

もうそこまで来ている春。

行ったり来たりの足踏みをし

今日も灰色の空と霧雨の 冷たい一日だった。

 

幸田文「木」

杉 檜についての熱い想いを読む。

周りを杉 檜に囲まれて住んでいる私は

ひたすら 広葉樹を好み 

これらの針葉樹を 薪にしか思っていなかった。

改めて 周りの山 林を見回してみた。

針葉樹がいつもと違って見えるのは

気のせいだけではないようだ。