薊の花

 

少し湿度を感じる 暖かい日。

窓 ドアを開けると 網戸からゆっくりと

外の空気が 小屋の中に入ってくる。

 

網戸を通して見る外の様子は 緑に溢れ

何種類かの鳥のさえずりが聴こえる。

小屋の前の道路を モーターバイクの列が

音を立て通り過ぎるのは日曜だから。

 

薊の花は 今年は不作の年。

ポツリポツリと咲く薊は細いが

逞しく棘を沢山付けたのよりも好きだ。

 

薊から必ず思い浮かぶ記憶。

半世紀以上も前 高校の遠足で

奈良の明日香村に行った。

飛鳥寺 石舞台を回ったのを覚えている。

草に囲まれ 土が崩れかけた所に

大きな石組みの古墳 石舞台があった。

狭い古墳の中に入ってみたが 

今でもそんな事が出来るのか?

草むらに沢山の薊が咲いていた。

私が今日見た様な細い薊だ。

 

最近テレビで観た石舞台は 私の記憶のそれではなく

整備された公園の様な所で 桜に囲まれていた。

「頑張ってるな」と思った。