灰色の空の向こうに 白い太陽が見えた。
それが 葉の落ちた細い木の枝から透けている。
ドアを開けると 真っ直ぐに飛び込んで来た
モノクロの世界の
枝に残った木の実と 黄色の葉っぱの繊細な影。
いかにも 晩秋の寂しさだ。
しかし 植物たちは もう次の春の準備をしているのを
私は知っているよ。
木蓮のはち切れそうな蕾
どの木の枝にも 見えないほどの新しい芽
茶色の百合の莢からは 種がパラパラとこぼれ落ち
ミヤコワスレの株は 随分と大きくなった。
雪が降れば その下で春を待つ植物たち。
その忍耐強さを 私はいつになっても見習えない。