激しい雷雨の夜が明け
雨水を吸った湿った土の上に
しっかりとした 足跡を残し
歩いていたのは誰だ?
山の中から 時折
金属音の様な声を響かせている 鹿の足跡だ。
険しい崖に 力強く蹴り上げ道をつけ
「ああ これが獣道なのか」
と 私を感心させる事も度々。
まだ 車も通らない薄明に
川沿いの道を歩き どこに行ったのか
足跡は 突然消える。
星が消え 鳥たちが鳴き始め
鹿は山に帰る。
人の動き始める前の 動物達の世界を
早起きをして この目で見たいと思う。