春の野に生える 蕨やつくしを
好んで器に描いた 尾形乾山。
見つけた蕨は乾山の蕨の様だった。
毎年蕨の生える場所に行き
そこへ行き 屈み 目を凝らした。
そして やっと
今年初めての蕨に出会う。
小さな子供の拳の様な形。
去年に枯れた茶色のシダの間に
目立たぬ姿で立っている。
今日も強い風が吹き
木々にまとわりついたアケビの葉が
忙しなく揺れている。
胡麻粒のような小さくて硬い蕾も。
春の花は咲き始め 若い木の葉は
萌黄色で開きそうなのに
冬の冷たさが ぶり返す。
咲き誇るビオラの薄い花びらが
ブルブルと震え
それはまるで耐えているかのようだ。