小さな陶の蓋物が好きだ。
手のひらに載せると 少しの重さを感じる。
その重さに比例するだけの物語も。
地平線が見える草原に 箱のような小さな家。
そばには
気持ちのいい風を受けて立つ木があり
サワサワと音をたてる。
鳥もやってきて 羽を休め
一声鳴いて飛び去るのだ。
朝は東から日が昇り 夕には西に日が落ちる。
星空の夜の輝きを 想ってみよう。
草原に寝転び空を見上げると
星座たちが ギリシャ神話を語る。
朝早く 露の原を歩くと
靴もズボンの裾も濡れるけれど。
小さな家は風 雨 雪から住人を守り
煙突から立ち上る煙は
旅する人の心に暖かさを与える。
手のひらの上の小さな陶の箱。
見ていると 星月夜や
風の音までもが 聞こえるようだ。