道路脇に バラバラと散らばる栗の毬(イガ)は
見上げる山に根を張る あの栗の木からだ。
可愛い茶色の栗坊主を 抱き抱えていた毬(イガ)。
風の強い日に バラバラと落ちた。
晴れが続いた日々。
金星が輝き 星座も空に広がった夜
アスファルト道路の上に
散らばった毬栗を 鹿が見つける。
「あっ 栗だ!」とは思わなかっただろうが
餌を見つけた悦びに 少しは胸が高鳴っただろう。
形のいい蹄で 毬をクイっと押し
割れ目から見える 光る茶色の栗。
濡れた鼻ズラを傷つけない様に
上手く食べるのだ。
写真に撮った アスファルト道路の毬(イガ)の殻は
とても男前だ。