湿った土の上に 重なって数年。
チェーンソーで切った 雑木の木っ端
軍手をはめた指で そっと裏返した。
現れたのは 白と焦げ茶の
力漲る木の造形だった。
人の感性と同じ数だけ 美しさの感じ方がある。
私は この朽ちた木っ端を見た瞬間
「おお!」と 心が躍った。
木の椅子に そっと載せ 写真を撮った。
そして
指で摘んで持ち上げ
腐った木の細くて厚い皮を めくった途端
バラバラっと 砕けた。
白と焦げ茶の薄い板になった 朽ちた木っ端。
私の足元にパタリと落ちた。