秋の初め スダチの香り

 

朝晩の 寒いほどの冷気で

数日前から ストーブに薪をくべる。

 

半袖のTシャツの上に

フランネルのシャツを着た。

うっすらと畳み皺のある軽いシャツ。

 

灰色の空と

頼りなげに風に揺れる芒の穂が

夏の盛りの 噴き出る汗の記憶を

忘れさせる。

 

知人がくれた 濃い緑のスダチの実。

酢橘と書く。

木の鉢にごろりと入れると

固い皮の 淡い香りがする。

それは

とても清潔で 控えめな

秋の初めの 柑橘類の香りだ。