畑の間の細い溝に
サラサラと心地よい音をたてて
透明で清らかな水が流れている。
南北に位置する
山からの伏流水だ。
その溝の脇に
黄色のきんぽうげ うまのあしがたや
淡い紫色のタチツボスミレ
若いふきの葉などが咲いている。
暖かい日差しを浴びている
植物や景色を見ていると
フランシス・ジャムの詩のようだと思う。
稲の苗を植えた田んぼに農薬を撒く。
すぐにカエルが腹を見せて死んでいくと
アキさんがいつか話した。
高度経済成長期の頃の事だ。
その時から半世紀以上
「沈黙の春」から何とか逃れて
豊かな自然が私の前に広がる。
ツバメが南から飛来し
低く ある時は高く
田んぼの上を飛ぶ姿に
国境のない地球を思う。