時は春 しかし

 

花のない季節に

原っぱに立ち尽くしていた百合の花。

 

道路脇に転がっていた松ぼっくり

 

林の中で見つけたどんぐりの実。

見上げれば 大きな櫟が枝を広げていた。

 

そして

何でこんな所に貝殻が?

 

それぞれを

カバンに入れたり

ズボンのポケットに突っ込んだりして

持ち帰った。

 

北風の吹く日が帰ってきても

時はもう春。

しかし 私は

冬の名残の枯れた植物を

土に還す事もせず 

鉢や陶箱に入れて

まだ大事に手元においてある。