民芸遍歴
「民芸」と言う言葉を知った本だ。
日本各地の陶磁器 染織
漆器などの日常雑器。
李朝時代の陶磁器 工芸品。
江戸時代の木喰の像。
無名の職人の作る物に 美を見出し
日本各地を旅して
それらを世に紹介した 柳宗悦。
民芸運動の波動が伝わる本だ。
倉敷民芸館の創設者 館長でもある
外村吉之介が書いた。
装丁は芹沢圭介。
昭和3年から昭和44年まで
日本中を旅し 無名の人の作るものに出会い
それを 文にした。
私はこの本を一度処分した事がある。
引越しのドタバタで
訳もわからず処分した本の一冊だ。
その後 何故か気になり
インターネットで
背表紙の焼けた古本を見つけた。
100円だった。
私は読んだ。
しかし
21歳の私が覚えた感動は
全く帰って来なかった。
民芸運動の潔癖性が気になった。
さて
この本をどうしよう。
「一度捨てた本を 又捨てるのか?」
柿渋色の美しい表紙が 私にそう問いかける。