川の流れる音

 

川のそばに住んでいると

いつしか

ざーざーと流れる音が

聞こえなくなる。

 

こういうのを 耳が慣れるというのだろう。

 

夜 布団を被って眠りにつく時

深とした暗闇の中で 川の流れる音が聞こえる。

そして

いつの間にか 寝入ってしまうのだ。

 

夢を見よう。

川に浮かべた舟に乗り

ゆったりと ゆらりゆらりと揺れながら

白い月の光を浴び 

星の輝きを指針とし

喉が乾けば手のひらで 

水を掬って飲むのだ。

 

そんな私を

鹿が丸い目をして眺め

フクロウがホーホーと声をかける。

 

不安な気持ちの一欠片もなく

私は 悦びに満たされて

舟の旅を続ける。

 

川の音を聴きながら

そんな夢を見て眠ろう。