梨の木をもらいに

 

霧の様な雨が降る。

周りの緑は雨の滴で重そうだ。

 

夫はチェーンソーを軽トラに載せ

奥の集落に いそいそと出かけた。

 

奥に住んで 山仕事をする「弟君」と共に

「卵のケンジさん」の太い梨の木をもらいに。

 

何故 ケンジさんは梨の木がいらないのか?

林業を生業としているこの村の人にとって

杉 檜の針葉樹は大事だが

広葉樹は「一銭の金にもならん」から。

 

なるほど。

住んでみないと分からない事だ。

何故 獣害が発生するのか?

何故 豪雨で山が崩れるのか?

これも 

林業を生業とする人達は分かっている。

 

山でずっと住み続けた人達の現実と

景色がいい 空気がいい 星が綺麗だ

と言う 通り過ぎる人達との違い。

 

どちらも真実だ。

林業を選ぶしかなかった

山村に住む人達の現実と夢のジレンマを

住んで初めて理解することが出来るのだ。

 

Google Mapで見る村は 

深い山の奥にひっそりと在る。

京都と村を繋ぐ道を目で追う。

いつも 不思議な感じを覚える。