今から 100年よりもっと前
山の中で カゴを作って暮らしている人達がいた。
それはトネリコの木を薄く剥ぎ
編んだ 堅牢で美しいカゴ。
夜を明るく照らす満月の日に
出来上がったカゴを担ぎ
父さんは 街まで売りに行く。
やっと 父さんは僕を街に連れて来てくれた。
ジャンセン金物店の棚を見てみよう!
鍋 バケツ ストーブの煙突 皿 ノコギリ
かんじき 石油ランプ 魚を取る網 陶器の壺
父さんはここでカゴを売った。
そして
母さんに頼まれた物を買いに 食料品店へ。
ふすま入りの粉 白い粉 ベーキングパウダー
生姜 干しぶどう レモン ラード 豆
玉ねぎ 缶詰のトマト・・・
初めてみる街の色の洪水。
買った物を棒に結えて
我が家に向かって歩き出した。
その時
心ない人達から投げかけられた言葉に
僕は初めて 社会の現実を知らされる。
何時迄も 頭から離れないその言葉。
心ない言葉に トネリコの木を探しに行くのも
カゴを作ろうという気持ちも萎えた。
さて その後
僕はどの様に 成長の階段を一段
登っていくのか。
最後までは話さない。
是非 自分で本のページを繰り
読んで欲しい。
美しい絵の中で語られる
懐かしい質素だが豊かな暮らし。
私の大切な一冊になった。