街から山の村に越してきて
驚いたのは
山野草の多さだ。
その殆どが
控えめな可愛さで
群れて咲いている。
秋の初めに咲く山野草の中で
群を抜いて可愛いのが
ツルボ(蔓穂)だ。
稲刈りの終わった田んぼ近く
淡いピンクの小さな花を
上に向かって付けて
太陽の光を浴び
風に揺れている。
そして この花も
大変な働き者。
根の球根は茹でこぼした後
サラダにも煮物にも姿を変える。
ホクホクとした食感ではないか?
すりおろして
腰痛や打撲の湿布薬にも。
古人は随分助けられただろうね。
すりおろしを
木綿の布に丁寧に塗り
痛い部分にそっと貼る。
その優しい手のひらが
心に浮かぶ。
可愛い顔をした利口者 ツルボ。