夜
久し振りに窓を開けた。
とても気持ちのいい 冷たい空気が
小屋の中に満ちた。
NHKFM「夜のプレイリスト」で聴く
ショーケンの歌。
男が泣ける男の歌だと
ディスクジョッキーが言っている。
「明日はお天気かもしれないな」
と 寝る準備をする。
朝 目覚めると
青空に明るい光が満ちている。
長い間待ち望んだ光。
山の向こうから
太陽が出て来るのも待てず
透明な梅酢に浸かった梅干しを
ザルに揚げ 小屋の外に出した。
ああ いい香りだ。
熟した梅の発する いい香り。
お天気とにらめっこしながらの
梅干しの作業。
面倒だと毎回思う。
でも
手のひらに塩を付け
紅く染まった梅干しの一片を
炊きたての熱いご飯で包み
それを 頬張る贅沢が嬉しい。
私の食の贅沢は実に質素なものだ。