御歳90歳のオカネさんは
カイロを背中に二つ 腰に二つはっている。
脳味噌はキリキリ働き 口も達者。
でも 7月になっても暖かくならない
今年の夏には参っている。
海抜600メートル程のこの山の村。
例年 クーラーは勿論
扇風機さえ夏に数日使うだけだ。
今日 ナガオさんの家の煙突から
ストーブで薪を燃やす煙が上がっていた。
勿論 うちの煙突からも。
いくら 夏涼しい土地であっても
こんな事は初めての事だ。
数日前から
ヒグラシが遠くで悲しげに鳴いている。
この蝉は夏の終わり近くに鳴くのではなかったのか?
合歓の花もまだ咲いていないのに。
冬布団を仕舞い込んでしまい
ふかふかの感触が
後悔とともに懐かしい。