小屋の北側の谷

 

小屋の北側の谷は

どんなに日照りが続いても

今迄 水が枯れた事がない。

 

谷に沿った林道は

軽トラが走るだけの幅。

 

そこをずっと上に歩くと

細い険しい道になる。

 

谷は細くなり

やがて水源にたどり着く。

 

そして

頂きをあちらに下ると京都だ。

 

広葉樹の葉っぱが

清らかで冷たい谷川を

踊る様に下り

暗い杉林が

涼しい影を作る所。

 

その谷のどこかに

弾丸飛行のカワガラスが巣を作る。

 

獣道に付いている

新しい鹿の足跡。

 

どこかで私を見つめる

動物や樹の霊の気配。

 

山の中は私にとって

不思議な怖れを感じる所だ。