山里や田舎の植物や木には
ちゃんとした存在の意味がある。
家の周りの梅の木は梅干し。
甘い柿はおやつ
渋柿はおやつと正月飾りの干し柿。
ワラビ、ゼンマイ、蕗は冬の保存食に。
塩で漬ける。
山椒の木は鯖のなれ鮨には欠かせない。
そして山には楢の木。
これは
囲炉裏の薪や炭に。
どれもこれも
今は昔の話。
生活の為の知恵として
ずっと受け継がれて来た
植物との共存。
うちに植えてある木を見ても
集落の人は当たり前の様に
「これは食えるんか?」と聞く。
「食」が生活の中心であったかが
よく分かる言葉だ。
誰も伐らなくなった楢の木は
春の山を美しく彩る。
淡くて白っぽい芽吹きの葉っぱ。
太陽の光を浴びて
風に揺れる楢の林。
青空の下で
美しい。