杉の枝を焼いているケンジさんが
私を見つけてやって来た。
家の白壁を
「アオゲラが穴を空けた、
山側などひどいものだ。
テンが家の中に入って来るかも知れない。」
確かに山側の壁は何カ所も
ぽっかりと。
「綺麗な青い鳥なんやけど」
と言いながら
壁の修理代を心配している風だ。
コンコンコンコンと
山から聞こえるキツツキの音。
「ケンジさんの白壁に穴を空けたのは
ひょっとして君かね?」
冷たい日だが
黄色のキセキレイが
軽やかに飛び回り
巣作りの場所を探す。
シジュウカラも群れで飛び
ニュースが
白鳥のシベリアへの旅立ちを伝える。
4000キロの長い旅だ。
「安全な旅を!」
春だなぁ。
そして私は?
雪の積もっている時から
夫が割っていた広葉樹と針葉樹。
猫車で何回も薪棚まで往復し
割られた薪を積み終えた。
啓蟄も過ぎ
もうすぐ野の花も咲き始める頃だ。