ぶらり歩きの友

 

インディオが被っている様な友達の帽子。

友達がうちに遊びにきた時

いい帽子だと褒めた。

 

弘法さんで売られているその帽子を

私にもと去年の秋に

プレゼントしてくれた。

 

北風の強い今日も

この帽子を被って

ぶらりといつものルートを歩く。

 

雪の消えかけた楢の林から

遠く聞こえる犬の声。

野鳥達の声も騒がしい。

山と山の間の細い溝から

雪解けの水かほとばしる。

飛行機のジェット音が

頭上から届く。

 

見飽きた景色だが

耳に入って来る音や響きには

知らず知らずに耳を澄ます。

 

ドアを開け

ぶらりぶらりと道を歩き

自然の発する音を聴いていると

少しくらいの心の重みも

風と一緒にどこかに飛んで行く。

 

ぶらり歩きの友。

インディオ帽と

ポケットに入れた

小さなカメラだ。