夫はおもしろい絵本を見つけるのが上手い。
図書館に本を返却に言った時
新刊の棚に並んでいた絵本。
「シルクロードのあかい空」を借りて来た。
若い昆虫学者が中国・ 新彊ウイグル自治区の
広大な自然の中を旅した。
珍しい生き物、堅実な生活、古代への想い。
それらからインスピレーションを得た
絵本作家が描く感動の旅。
一緒にページをめくりましょう。
砂にそって並ぶ、ポプラや、クワや、ブドウ。
砂は、空にくっつくようにひろがっている。
白い雲の下には、みわたすかぎりの綿花畑。
畑が真っ白になる頃、綿花の収穫がはじまる。
(綿毛のようなチョウが、とびたっていく。)
霧が、針葉樹やポプラの木々のあいだをとおりぬけ・・・
冬のあいだは、丸太小屋のならぶ村でくらす。
そして、春になると遊牧生活をはじめ
カザフ族のようにユルトでくらす。
すべての色が、アナス湖の水面でまじりあう。
ウラジャノメの好物は、針葉樹。
あかい空に背をむけて
夕日がしずむ西をめざしてすすんでいく。
冬がくれば冬に、夏がくれば夏に
抗う事なく自然に沿って生きていく。
生きる為に働く。
その原点を見るようだ。
「悩んでなんていられないよ。
綿の花が咲けば摘まなきゃならんし
摘んだらそれを市場に運ばにゃならん。
人間も馬も鶏も病気をせんように
いつも気をつけてないとね。
毎日食べるパンも沢山焼くよ。
忙しい毎日さ」
と言う声が聞こえて来る。
夕日に照らされたあかい空、あかい山。
その中を走る三輪バイクの音や
運転する人の陽に焼けた顔までが
心に浮かぶ。
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