満身創痍の倉

 

400年前か 500年前か

私の住んでいる集落に

一番最初に住み着いた家族。

 

先祖は侍と言われるこの家は

山奥を拓き 家を建て

畑や 田を作り 炭を焼いた。

 

今は誰も住んでいないこの家。

 

台風で

この家の窓と雨戸が飛び 

小屋も崩壊し

倉の壁が以前にも増して

下地の土が見える様になった。

 

壁が落ちて

泣いている様に見える倉。

 

だが、しかし

藁をすき込んだ黄土の下壁

漆喰を塗り込めたの白壁の倉。

 

豪農の立派な倉ではないが

自然素材で出来た質素な風情。

身分相応な美しさだ。