タヅコさんの赤飯は
大きめの小豆がふっくらと艶々している。
ご主人は濃い赤いご飯を食べない。
うっすらと赤い色のが好み。
だから
タヅコさんはいつも2種類の赤飯を作る。
雪の季節を除いて
タヅコさんの日当りにいい庭に
こぼれんばかりの花が咲いている。
何種類もの野菜が
畑に途切れる事なく育つ。
畑で採れた大根を
紫蘇梅酢で赤く染めた漬け物。
こんなに手間をかけた物を
隣の集落から車で「配達」
「嬉しいです」と私が言う。
それを聞くタヅコさんは
いつもちょっと嬉しそうな顔をする。