「椿姫」の原題は La Traviata(堕落した女)。
日本語のタイトルの方が
やっぱり涙を誘う。
誰もが知っているオペラだ。
だからあらすじはあっさりと。
19世紀、パリ。
貴族のおぼっちゃま(アルフレード)と
高級娼婦(ヴィオレッタ)が夜会で出会う。
二人はパリの郊外で生活を始めるが
おぼっちゃまの父が、息子と別れてくれとやって来る。
アルフレードの将来の為に別れ
パリで元の生活に戻ったヴィオレッタ。
「裏切られた」とヴィオレッタを恨むアルフレード。
何年か経ち
結核を煩った余命幾ばくもないヴィオレッタ。
死の間際に駆けつけ詫びる
そしてヴィオレッタは幸せのうちに死んでいく。
おお、悲恋物語の王道だ。
これに一流オーケストラと
名歌手の歌と
舞台装置が加わると
上質なオペラに変わる。
第一幕が終わった時
隣のシートに座っていた
私と同年代の女性が言う。
「ガックリしました。
一つ下げて歌ってましたね。
年ですねぇ」
「年ですねぇ」
と言う程の歌手って
第一幕で歌ってた?
一つ下げて歌おうが
転けようがそんな事は
気にならない。
CDよりDVDよりテレビの映像より
やっぱりライブが一番だから。
結核で非業の死を遂げたヴィオレッタが
カーテンコールで
ピョンピョン跳ねて
手を振っている。
シチリア娘のやんちゃ娘。
びわ湖ホールを出ると
まだ明るい空の下
湖をゆっくりと
「ミシガン」が走っている。
「ああ、楽しかった」