午後5時半。
大津から帰宅。
「狐と目が合った」と夫が言う。
夫が外で「ちょっと一服」していた時
道路をトントントンと
小狐が呑気そうに小走りしていた。
チッチッと舌を鳴らすと立ち止まり
首をキッとこちらに向けた。
じーっと夫を見る狐。
よしよしと首を振ると
狐は又ゆっくりと走り出した。
その時
火ばさみがカタンと倒れた。
狐は素早くコアジサイの茂みから
崖を駆け上り
小高い場所から夫を見た。
そして
山の中に消えた。
フサフサの長い金色の尻尾。
「可愛いわぁ
顔は陰気やけど」らしい。
陰気だなんて言ってるよ。
今度は私の前をトントンと
走ってくれる?