豪雪注意報が出た8日。
吹雪く中
90才のショータさんがちょっとした用事で
自転車に乗りやって来た。
お願い事がある時は
必ずお土産持参だ。
「鯖のなれ鮨」
このなれ鮨を語り出すと
長い長い物語になるので
かいつまんで言うと・・・
と言っても長くなる。
ショータさんが若い頃。
弟のマサオさんと徒歩で山を越え
毎年、福井県小浜まで鯖を貰いに行った。
その頃の福井は捨てる程鯖が獲れた。
背中に担げるだけ担ぎ
又、山の中の細い「鯖街道」を歩いて帰った。
その鯖の腹を割り、たっぷりの塩をし樽に漬ける。
鯖から水分が出たら取り出し
ご飯と山椒の葉っぱを腹に詰め込む。
綺麗に洗った樽に隙間なく鯖を積んで
醗酵すれば出来上がり。
動物タンパク質の不足する冬の保存食。
奥さんが亡くなられた後
ショータさんは鯖のなれ鮨を
「ミッドタウン」の小さなスーパーで買う。
醗酵した鯖もご飯も
熱いご飯や酒の肴に
説明しがたい美味さだ。