ある所でプラスチックのおもちゃを一つ貰った。
近くにいた幼稚園児くらいの子どもにあげようかと思ったが、一人にあげて、残りの子どもにあげないというのは不公平だ。
カバンの中に入れて持ち帰った。
それは太陽の光を感知してエネルギーに変える、簡単なソーラーシステムが組み込まれた動くおもちゃだった。
昼間は窓際でひよことクローバーみたいな葉っぱがせわしなく動く。夕方、日の光が弱まると元気がなくなり、夜になるとおとなしくしている。
朝、太陽と共に働きだし、日暮れと共に仕事を終える。健康的な生活の「物達」だ。見習わなければ・・・
思いの外、可愛いし、気になって仕方がない。
AIBOと言うロボット犬が現れた時、何ともあほらしいと思った。血の通っていない、金属の、エネルギーを充電しなければ動かない人工犬。
「こんなの買う人がいるのかな?」と思ったけれど、買う人が思いの外いたようだ。
うちの小屋の窓際でせわしく働いているプラスチックの「物」を見ながら、ひょっとして、AIBOは可愛がられたんじゃないかと思う。
人工の、血も涙もない物だけど、それらを見て「かわいいな」「けなげだな」「働き者だな」と思う人間によって、金属やプラスチックの物体は命を吹き込まれる様に思う。