今の季節、雨が降るたび、夜が明けるたび、小屋のまわりの草や野草は驚く程伸びて、それがいいのやら,困るやらの毎日だ。
ここに住んで分かった事だが、田舎の住人はとにかく草を抜き,刈る。田んぼの周りも,畦道も、家の周りも,庭も見事な程の刈りようである。
草が茂っているとマムシが潜んでいても分からない。マムシでなくても蛇はいやだ。それはよく理解出来る。それに加えて、「草をそのままにしてると怠けている様に見られる」と言うのも、草刈りに精を出す理由の一つだ。
そんな働き者の村人達は軽トラや市バスでうちの小屋の前を頻繁に通り、そして、うちの伸びた雑草や山野草を,見ていないような振りをして、じっくりと観察しておられる。
私の器や陶板に描く花は野の花である。雑草とひとくくりで呼ばれる草花の中で、ハルジオン、ヘビイチゴ、オダマキ、ゲンノショウコ、ジシバリ・・・色々・・・それ等を残して草を抜いたり,刈ったりしている。
何ヶ月も雪の下で春を待って、やっと、葉をつけ、花を咲かす野の花達。そんな感傷は捨てて無慈悲に抜いても「これだけ残るんですよ、皆様がた」