京都に住んでいた頃は行ってみたいとも思わなかった福井県。しかし朽木に住んでみると、「ちょっと行ってくる」という近さだ。京都に行くのと,福井の小浜までは大体同じ時間で行く事が出来る。
私の住んでいる平良という山の中を抜けて,通称鯖街道、367号線迄出ると、只ひたすら真っすぐ北に車を走らせる。道は走る度に良くなり,広くなり、日本の公共工事の凄まじさを感じる。信号の殆どないまっすぐな道。
若狭町に入ると、まだ稲刈りの終わらない田んぼの隣、あちこちに白い花を一面につけたソバ畑が広がっている。
ソバ、米、雑穀。小さな粒の殻をとり、一粒一粒集めて主食にする。生きて行くという事の基本のような気がする。
この日の小浜行きの第一目的は、夫のチェーンソーの調子を見てもらう為に木戸商会に行く事だ。特に悪い所はなく「だまし、だまし使って下さい」と、お店に4台もパソコンを置いている「東大卒」という噂の木戸さんが言う。
体が変だと思って病院に行ったのに、「何ともないですよ。余り気にしない様に」と言われたのと同じ気分がする。
でも、こんな事でもなければわざわざ小浜に来る事もない。
「まあ、いいか」と港に向う。
港から見る海は空の色を映して鉛色で波も静かだ。
国境のまだ無い遠い昔。沢山の海の向こうの人達がこの湾にたどり着いた事だろう。その当時と今と,湾を取り囲む山は姿を変えていない筈だ。
この湾を出て真っすぐに行くとナホトカ。西に進むと朝鮮半島。東に行くと極東。小浜湾からも好奇心に駆られて外に出て行った人はどれだけいただろう。お互いにやあやあと言う感じだったのかな?
そうであって欲しい。
小浜に来れば,必ず買って帰る「オバマまんじゅう」。日本全国沢山の土産物の中で、このおばまんはかなりの高得点を貰えるんじゃないかと、私は思う。
酒まんじゅうの風味とこしあんのさらっとした味、押された焼き印のおもしろさ、ネーミングと、包み紙に小さく書かれている「オバマを勝手に応援する会」というユーモア。
オバマさんが大統領でなくなっても、このお饅頭は作り続けて欲しい。