いつの間にか定番の花器になってしまった。大きいのから小さいの迄、何故か西洋人が好んでくれる。「プチプチ」でグルグル巻きにして渡す。大事そうに嬉しそうに抱えて "Thanky you!" 。西洋人の中でも英語圏の人達は本当に笑顔がいい。
今、何処で、どんな場所にこの花器は置かれているのだろう。
近くの山の栃の木。色々な形の額を作った。中にシェーカー家具の陶のレリーフ。
日没後、ライトを点けゆっくりと山道を車で走る。ほら、ほら、いましたよ。こちらを見ている鹿達。
「只、食事をしているだけ、只、山の中を歩いているだけ、只、畑の傍に立っているだけ。害獣なんて言わないで欲しい。
ジビエ料理なんてもてはやさないで欲しい。銃で撃って迄食べる程のもんじゃあないんですから」
そんな風に私を見ている鹿達は言ってる様な気がする。
陶芸を始めてから、ずっと作り続けているピンクとブルーの食器。20代の私の感性が作った。あれから何十年。このシリーズをずっと愛して下さる方達と共に作り続けて来た。
画廊の道路に面したウインドウに、何時もの様に新作のシリーズ物を並べる。
隣の集落の方から頂いた厚さ10cmはあろうか、杉の板。その上にあっさりとした釉を掛けた「草原」の器達。
夏の終わりから秋の始まりにかけての今の季節に、よく合う展示になっていると思う。
後一週間この陶房展は続く。帰り道の日暮れが少しずつ早くなり、気ぜわしい夏の終わりだ。