やっと咲いた、桜

4月17日の桜、平良
4月17日の桜、平良

京都ではもう新緑が始まろうとしている今、ここ平良ではやっと桜の盛りである。先週の土曜日、突然花を開かせたかの様に川辺で日の光を浴びている桜に、私は驚かされた。

数十年前、桜の後ろは杉林ではなく田んぼだったそうだ。米よりも経済効率の高い杉や檜をと、国の政策で植えられた杉達。多分その後で植えられた桜と、今は美しい対比をなしてこの山里の風景となってなじんでいる。

針畑川に流れ込んでいる谷は余りにも多く数える事さえ難儀だが、村の人達はどんな小さな谷の名前までも言う事が出来る。当たり前と言えば当たり前だが、ここに来て数年の私にはそれさえも驚きだ。その谷の1つ、翁谷がうちの小屋の側を針畑川に流れ込んでいる。これらの谷にはちょうど今頃になると、葉わさびの花が咲く。小さな白い花も葉もわさびの味がする。さっと湯をかけ、ほんの少し酢をきかせた醤油に漬けて、短期の保存食とするのがここらの食べ方。最初の年は山菜という山菜が面白くて次から次へと食べた。しかし、次の年にはすでに私の中では山菜ブームは過ぎ、蕨は勿論、たらの芽でさえ、「ああ、芽が出たか・・・」。

白菜やキュウリ、ジャガイモや人参は毎日食べてもあきない。何故だろうかと考えた時に、山菜は食物として個性が強すぎるのではないだろうかと言う事で、私の心の中では決着がついた。灰汁抜き等の手間がかかるというだけではなさそうだ。毎日食べるものはクセのないものの方が飽きない。

村の人は沢山の種類の野菜を作り、その恩恵に私もあずかっている。

葉わさび
葉わさび
一輪草
一輪草