平良の集落の山の中に、縄文杉ほど大きく有名ではないが、立派な姿の栃の木が、これも又立派な枝を広げて立っている。
細い急な山道を登り、少し広がった所に出たなと思って見上げると、この大きな栃の木が「やあ、いらっしゃい」という様に枝を広げている。噂に聞いていたよりもずっと大きく、威厳があり、「スターウォーズ」のヨーダが枝にちょこんと座っていたとしても,私は驚かない。大きな木には霊が宿っているとよく言われる。まさにこの木がそうである。ここには沢山の栃の木があった。殆どが材として伐り出され、節のある、材としては失格のこの木が残ったと聞いた。何と運のいい木だろう。50年、60年ほどの人工林の杉林に囲まれて、何百年のこの栃はのびのびと枝を広げ、根を張っている。花の季節にはこの木の回りをミツバチが飛び交い、下に座っていると花の蜜がボトボトと滴り落ちるそうである。
10年ほど前まで平良の女性達は、栃の実が落ちる頃に背中に重いほどの実を背負い、家に持ち帰り、手間ひまをかけて栃餅を作った。米の餅の量を増やすために加えられた栃の実。今は朽木の特産物として愛されている。
満月の夜になると私は思う。あの大きな聖なる木の回りを鹿が歩き、木の洞からヨーダの様な木の精が顔を覗かせ、枝ではフクロウが鳴いているのを。
山歩きの靴を履き、平良の大栃の木に会いに来ませんか？。私は何時でも喜んでご一緒します。
