犬を飼いたいと思ったわけでもないのに何故か私達の前に犬や猫が現れ、放っておくわけにもいかず世話した犬や猫が10本の指では足りない。その最後の賢犬がシロだ。18年生きたが最後は老衰で死んだ。
死んだ後に我々に残したものは、毛布,えさと水のボウルそれぞれ1個、首輪,ブラシ、それにリードだけ。それを眺め,何と言うシンプルな生き方だったのかと大いに感心した。
私の父、義父が亡くなった時は,それぞれの母もまだ若く元気で、私は遺品の整理には余り関わらなかった事を覚えている。
そしてその母、義母が亡くなった時、残された物の余りの多さ,「重さ」に驚いた。
ある人が冗談まじりに私達の事を「天涯無一物だ」と言った。そんな私達でも回りを見ると,何と沢山の物に囲まれて暮らしているのかとうんざりする。人間なので洋服も着なければならない。思い出の品もある。旅をした時の写真、本。
本当の天涯無一物になるにはまだまだ修行が足りないとシロのお墓の前を歩くたびに思う。