もしも,トンビなら

朽木のミッドタウン
朽木のミッドタウン

朽木に蛇谷ケ峰という900m程の山がある。琵琶湖の西、比良山系の北端に位置する。村の人はこの山をオグラスと呼ぶ。

私はこのオグラスに2度登った事がある。しんどいと言えばしんどい,そうでもないと言えばそうでもない、という様な中途半端な高さの山である。

この山の頂きから,是非一度登ってみたらと誰にでも勧めたくなる様なそんな風景が広がっている。オグラスの西に朽木村のミッドタウン、市場(いちば)が見え、そのかわいらしい集落に村の人口2500人の大方が住んでいる。私の住んでいる集落平良は山並みの向こうの向こうだ。そして頂きの東は琵琶湖の北側。ぼんやりと竹生島も見える。ドーン、ドーンと響いて来る陸上自衛隊饗庭野演習場の大砲の音を聞きながら「高い砲弾をおもちゃにしてるんではないか?、しっかり練習しろ」と、国がどうかなった時に助けてもらおうとは思わないが、私は山のてっぺんで怒っている。

この頂きに立つと,東と西の地形、風土の違いがはっきりと分かる。飛鳥の時代に沢山の渡来人が琵琶湖周辺に移り住んだと本で読んだ。成る程、開けた土地、水陸の便は良し,水は良し。上から眺めて納得する。

そして,西側の朽木と言えば・・・山又山の隠れ里である。平家の落人部落とも言われ,いくら落ち延びるためとは言え,都からここまでさぞや大変な道行きであったろうと思う。一度、「朽木の人は上品な顔立ちの人が多いですね」と言うと,冗談まじりに「平家の血を引いてるから」と言われた。私はお公家さんが決して上品だとは思わないが、何時も当たり障りなくうなずいている。

 

私の頭の上を何時も飛んでいるとんび。「あんた達は何時もこんな景色を見ながらクルクルしてるんだね」。輪廻転生があるのかないのか,生まれ変われるのならとんびがいいかなと最近思っている。

琵琶湖の北
琵琶湖の北
オグラス頂上
オグラス頂上