私が小さい頃,母と電車に乗っている時に母の生まれた家や親戚を教えてもらった事がある。今でもそこを覚えていて、その近所を歩いてみたいと思う。どんな所で母が生まれたのか,その親戚はどんな人なのか,興味は尽きない。
ある日、高島市図書館のサイトの「高島市もの知り百科」という所を何気なくクリックした。そこに夫の曾祖父の名前があった。「高島市の人」という所である。曾祖父は朽木の近くの人だと義母から1、2度聞いた事はあるが、まさか図書館のホームページでその名前を見るとは思いもしなかった。驚いた。
夫にこの話をし、どんな所か近くに行く用事がある時に訪ねてみようといっても全然興味を示さない。血のつながりのない私の方が言ってみたいと思っている。
ニューヨーク市のハドソン川の真ん中にエリス島という小さい島がある。約50年程前迄、ここに移民管理局があった。アメリカに移住する人は必ずここで審査を受け、ここからアメリカに上陸した。今は移民博物館として毎日沢山の人が訪れる。この大きな建物の中では、ここで審査を受け移住した人全てをパソコンで検索出来る様になっている。自分達の先祖の名前を見つけ,感慨に浸る人は大勢いると聞いた。沢山の展示品や写真があり,その中には袴をはき,簡単な日本髪を結った日本の女の子の写真もあった。両親が先にアメリカに来て,その後からこの子が来たと説明されていた。遠い旅だったろうと思う。沢山の展示品の中で私がどう考えても合点のいかない品物が二つ。羽枕と日本でも使われている藤の蔓を曲げて作った布団たたきの数々である。アイルランドやイギリスから持って来なければならなかった物はもっと他にあったのではないか。
エリス島を思い出すたびに、袴をはいた日本の少女と、大きな羽枕と布団たたきの不思議も思い出すのである。