11月28日の夜は雲の流れが速く、その合間に白く光る月が見え隠れしていた。空気は冷たく夜露が辺り一面をしっとりと濡らし、見上げた晩秋の夜空は厳しい。
人は死んだら月に帰るのかな・・・と思う。
明るく輝く満月の夜、濃紺の空に雲が速く流れ、月がその合間に見える夜、鋭い三日月がくっきりと浮かぶ夜。どのような月の夜でもゆらり、ゆらりと人が優しい顔をして月に登って行くのが私には見える。かぐや姫は最後に月に帰って行ったが、それは死を意味していたのかも知れない。御伽草子は子供の為の話ではないと思うから。
太陽の光は温かさと活力を与えてくれるが、月の光は私に思う時間を与えてくれる。