山里で暮らしていると、今まで経験しなかった出来事に出会う。
小屋の川向こうを犬に追いかけられたイノシシが疾走していたり、夕方薄暗くなると鹿が歩いていたりする。
食べ物もそうである。今頃の季節は冬苺が林の中にルビー色の実をつける。引っ越して来た当時、頂いても食べるのを躊躇したものが天然の茸だった。チョットした勇気がいった。テーブルの上の茸を二人してじっと見つめ、食べたいけど恐い。そんな思いをして味わったのが天然しめじだった。茸はきのこ。決してステーキの味はしない。でもこの季節にだけ山や林に出て来る旬の味は食物の「始め」を私に感じさせる。
毎年山に入りしめじを採るのを楽しみにしている人、椎茸やナメタケの栽培をしている人。
いただく茸はざる一杯になり、毎日色々な料理をしてありがたく食している。