平良に引っ越してくる時に、火力の強い大きな白い円筒型の灯油ストーブを用意して来た。「これなら大丈夫、どんなに雪が降る寒い冬も」と安心していた。11月の中旬、このストーブに火を点けた。全然暖かくない・・・どうして?。目一杯火力を強くしてもストーブの側にはり付いても本当に寒い。そしてどんどん灯油の目盛は動く。
そんな時に村の鉄工所でテレビや雑誌で見た事がある時計型ストーブを見つけた。80才の鉄工所の奥さんが軽々と持てる簡便で安価なストーブ。煙突も含めて1万円少し。すぐに買い求め、夫は大奮闘してストーブを設置し、煙突を付けた。向かいの山持ちのお隣さんに山に入っていい許可を貰い、雪に埋もれた間伐材の杉を山ほど掘り出し伐って割る。
こんな風にして私達の薪集めは始まった。沢山の人から薪を採りにおいでと言うお知らせを頂く。薪に一番最適のナラ、クヌギから、火力のある松、一番手近で火付きの良い杉まで。様々な木を連絡があれば軽トラで夫と駆けつける。風呂を石油に替えたから薪がいらないと割った薪を下さった方もいる。前の冬は雪が重く、山の杉が次々に折れ、その杉が電線に倒れ長い停電まであった。そんな雪折れの杉も小屋の側に沢山積んである。
今日もストーブで薪を贅沢に燃やしながら、下さった方々に感謝している。
小屋の中のぬくもりは村の人達の暖かさでもある。